プリセプター制度ってなに?

プリセプター制度とは

基本的にプリセプター(先輩看護師)がプリセプティ(新人看護師)をマンツーマンで教育・指導やフォローをすることを指します。
(職場により異なる場合もあります。基本形以外は下記参照:プリセプター制度の種類)
プリセプターにはおもに着任から3年以上の経験を積んだ看護師が任命されます。
職場によって異なるものの、プリセプター制度には約1年間の期間を設ける事が一般的です。
プリセプティはプリセプターから看護師としての仕事(業務)を教わることになります。新人の看護師が入職したばかりの初期の段階から、プリセプターがつくことが効果的とされています。

プリセプター制度の目的

新人看護師のプリセプター制度の導入でリアリティショックを軽減

新人看護師さんの中には、環境の変化や学生時代に十分に学んだにも関わらず、実際の臨床の現場で求められるスキルとのギャップに悩まされる方が少なくありません。
これは「リアリティショック」と呼ばれ、新人看護師さんが直面しがちで、離職してしまう大きな要因とされています。(入職後3カ月までの間にこの現象が最も起きやすく、6カ月を過ぎたあたりから少しずつ緩和されると言われています。)
このギャップを埋めるために2010年4月から新人看護師研修を行うことが国によって努力義務化されたことを受け、養成校で学んだ基礎教育を土台に看護実践能力を高め、実際の看護に対する不安を取り除くことを目的としています。

一人の新人看護師に一人の先輩看護師が指導

プリセプティが一人前の看護師になるまで教育、フォローを行いながら導くことで、新人看護師の育成や職場への定着を目指します。

「一緒に成長できる」    ~教えながら自分も学ぶ姿勢で~

プリセプター制度は、プリセプターとなった看護師さん自身にも自分の仕事を再度確認し、成長できるチャンスを与えてくれます。後輩を指導しながら、自身もこれまでの業務を振り返りつつ、新たな気付きを得られることもあり、学ぶべきことも多いので、ぜひ自身の成長のためにも役立ててみてください。

プリセプター制度の種類

職場によって実態は多少異なるものの
プリセプター制度は大きく分けて下記の3種類に分けられます。

プリセプターのみのマンツーマン画像
① プリセプターのみのマンツーマンcheck!!基本形
プリセプター制度の基本形。プリセプターとプリセプティがお互い業務にあたりながら、プリセプターが看護技術や日常業務などの指導・教育、フォローを行い、看護師としてのお手本を示します。
アソシエイト看護師画像
② プリセプターの上にアソシエイトが付く
プリセプターの上に支援・補佐役のアソシエイトが付き、全体的な指導・教育の進捗状況をフォローする形です。職場によってはプリセプターが日常業務の指導・相談を行い、アソシエイトが実践的な技術指導を行うなど、役割を分担するケースもあります。
※アソシエイト…プリセプターナースをサポートする役目の看護師のこと
精神的なフォロー役のメンター看護師
③ 精神的なフォロー役にメンターが付く
直接的な指導、教育はプリセプターが行い、新人の中長期的なキャリア支援や精神的なフォロー役としてメンターがつきます。プリセプティに寄り添う立場で精神的・人間的な成長を手助けし、中長期的なキャリアを見据えて支援を行います。  ※メンター…年齢や経験の近い先輩看護師のこと。新人の仕事の不安や悩みの解消、業務の指導や育成を担当。

プリセプター制度での指導内容

プリセプター制度では具体的には下記のような指導を行います。

プリセプター制度指導内容画像
① 業務内容の教育・サポート・評価
新人看護師に業務内容を教育・指導し、看護実践時のサポートも行います。
業務に関する進捗状況や知識・技術の習得度を共有し、把握します。
② 看護知識の学習サポート・評価
看護知識を身に付けるため、事前の予習と実践後のレポートを指示します。
新人看護師が作成したレポート内容を確認し、場合によっては必要な指導を行います。
③ チェックリストに基づき看護技術習熟度の確認・評価
職場ごとに設けられている看護技術チェックリストに基づき、看護技術の習熟度を確認、評価します。習熟が足りない項目に関しては、再教育や学習のサポートを行います。
④ 精神面のフォロー
リアリティショックが起きやすい新人看護師の精神面のフォローを行います。仕事への不安や心配事がある時、不安な時などに相談に乗ったり励ましたりと相談役としてサポートも必要です。

プリセプターになるには?条件は?

プリセプターになる看護師に特別な資格やスキルは必要ありません。一般的には概ね3年以上の経験を積んだ看護師がプリセプターに任命される傾向が多いです。

厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」によると、新人看護師の研修にあたる実地指導者に求められる人物、能力として下記条件を提示しています。

【求められる人物】
「看護職員として必要な基本的知識、技術、態度を有し、教育的指導ができる者であることが望ましい」とされています。
【求められる能力】
  • ・新人看護職員に教育的に関わる能力
  • ・新人看護職員と適切な関係性を築くコミュニケーション能力
  • ・新人看護職員の置かれている状況を把握し、一緒に問題を解決する能力
  • ・新人看護職員研修の個々のプログラムを立案できる能力
  • ・新人看護職員の臨床実践能力を評価する能力

プリセプターになったら心掛けたいこと

プリセプターに任命された場合、どのようなことに気を付けて接していけば良いでしょうか。
心掛けたいことを挙げられる点としては、以下があります。

他の看護師と比較しない看護師画像
① 他の新人看護師と比較しない
プリセプターとして指導にあたっていると、つい「他の新人はもうできるのに」、「覚えが遅い」など比較してしまう時があります。
しかし、人の成長は個人差があり、伸びる早さも悩んでしまうタイミングも人それぞれです。他の人と比較するのではなく、客観的に判断し指導や教育を行い、きちんと評価しながらじっくりと育てていくという意識を忘れずに。
助け合って指導し、一人で抱え込まないイメージ画像
② 助け合って指導し、一人で抱え込まない
プリセプターとはいえ、すべて自分一人だけで指導するわけではありません。新人教育は本来、現場の先輩たちみんなで協力して行うものです。一人で解決できない問題や悩みがある場合は、周りのスタッフに相談するアドバイスをもらう等、周囲の協力を得ながら、「みんなで教育する」ということを意識付けしておくと良いでしょう。
新人看護師に寄り添う看護師画像
③ 新人看護師に寄り添うフォローをする
ミスをした際、叱ることも必要な場合がありますが、ただ叱責するだけではプリセプティが委縮してしまい、かえって業務に悪影響を及ぼす場合もあります。同じ失敗をしない為に、積極的にコミュニケーションを取りながら、前向きに業務へ取り組めるよう精神的なフォローをすることも重要です。プリセプティが、のびのびと仕事ができる環境作りも、プリセプターの大切な役割です。

~まとめ~

以上、「プリセプター制度」についてご紹介しました。
プリセプター制度とは、基本的にプリセプター(先輩看護師)がプリセプティ(新人看護師)をマンツーマンで教育・指導やフォローをする制度です。
プリセプティは直接教育・指導を受けることで知識や技術を習得しやすい、プリセプターは自らの成長を見込めるなどのメリットがあります。
プリセプターに任命されると、責任感がプレッシャーとなり精神的にも厳しいと感じる場合があるかもしれません。新人看護師の教育はプリセプター一人で抱え込まず、本来職場全体で協力しながら行うことが前提になります。
一人で解決しきれない悩みや問題が起こった場合は、遠慮せず周囲に相談し周りのスタッフと協力し合い、自分自身を含め、全員で成長できる機会を作り上げていきましょう。